第24話 最後かもしれない
妻:絶対に付き合えない男と一緒によくデートして、恋人みたいな感じでいるけど、でも絶対に付き合えない。どう思う?
私:なんで付き合えないの?
妻:わからない。「付き合おうか」とは言ってくれてないし、もしかしたら他に何人とこういう関係を持ってるかもしれない。
私:もしかして、男はもう付き合ってると思ってるかもしれないよ?
妻:そんなことがない。誕生日も教えてくれない男だ。
私:女の方から確認すれば?
妻:今の関係を壊したくないから、言えない。
妻:だけど、女は、幸せです。
私:どうして?
妻:女はいつも覚悟してる、「今日会えるのが最後かもしれない」と思って会うことにしてる。
彼と一緒に神戸にいって、桜の花の下を歩けるのは最後かもしれない。だって来年の春は、絶対に違う女と花見をしているはずだし、とか
こうやって優しくご飯を作ってくれるのも今日が最後かもしれない、とか考えながら会ってるんです。
私:切ないね。
妻:でも、女は今のままですごく幸せなんです。彼から「おはよう」ってLINEがくるだけですごく幸せなんです。そしてこの「おはよう」がもしかして最後の「おはよう」かもしれないってずっと心の中で覚悟しながら「おはよう」って返しているんです。
私:そんなに一生懸命に人を愛していることが、幸せなんだね。きっと。